塩田、菅又の両調整池は、荒川の水量が豊富な時に取水した用水を一時的に貯えておき、荒川からの取水ができない時期であっても、水不足の心配をすることなく、かんがい用水の安定確保、安定供給をするための施設です。河川からの取水は、その河川自体の流水量が一定量以上の時だけしか取水が出来ないので、両施設の貯水機能は「安心営農」に重要な役割を果しています。
芳那の水晶湖
塩田調整池
塩田調整池の貯水量は158万㎥です。
塩田調整池は、建設地点近傍の土や岩石を利用して造る傾斜遮水ゾーン型フィルダムです。各ゾーンは中心から水を通さないシルト、粘土質に砂礫を混ぜた不透水性のコアゾーン(ゾーンⅠ)、上流側に半透水性の砂礫質ゾーン(ゾーンⅡ)、下流側にも半透水性の軟岩質(砂岩、凝灰岩、泥岩)ゾーン(ゾーンⅢ)また両側に保護層としてのロックゾーン(ゾーンⅣ)の各ゾーンが締め固められてダム全体の安定を保っています。
左:完成写真(湛水前状況) 右:芝ざくら公園
塩田調整池平面図
塩田調整池諸元
堤体標準断面図
重力式コンクリートダム型の貯水池
菅又調整池
貯水量49万㎥の直線重力式コンクリートダムです。堤高28.4m、堤長105m、ダム天端には7m幅の道路があります。ここで貯えられた用水は菅又揚水機場で汲み上げられ、小宅、那珂川の各幹線用水路に配水されます。
左:上流側より望む 右:工事中写真(下流より望む)
菅又調整池諸元
ダム断面図/堤体断面図
調整池の取水施設と農作物
調整池の取水施設は、塩田調整池で斜樋取水5孔、菅又調整池で多孔式取水4孔と標高の違う取水口が設置されています。これは、調整池からの取水の際に、農作物に対して常に適温の水を取水できるように配慮工夫されているためです。